ビーン•トゥ•バー(Bean to Bar)のチョコレート| 定義やおすすめのお店について徹底解説

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ビーン•トゥ•バー(Bean to Bar)のチョコレート

最近たまに耳にするビーン•トゥ•バーって何のことだろう?と思っている方も多いのではないでしょうか。
グルメやオシャレ好きな人のあいだで話題になっていることは知っているけど、じつはよく分からない、という方も多いのではないでしょうか。
ビーン•トゥ•バー(Bean to Bar)とは、カカオ豆(Bean)から板チョコレート(Bar)ができるまでの全工程(選別•焙煎•摩砕•調合•成形)を、 自社工房で一貫管理して製造を行うことを言います。
2000年代後半からアメリカでビーン•トゥ•バーがクラフトチョコレートのムーブメントとして興りました。
ビーン•トゥ•バーではカカオ濃度が高いものも多く、カカオ豆本来の香りと味わいを忠実に再現することができます。
そんな香り豊かなビーン•トゥ•バーチョコレートに注目が集まっています。

ビーン•トゥ•バー(Bean to Bar)の有名ブランド

近年、日本でもビーン•トゥ•バーのチョコレートを目にする機会も増えてきました。
有名ブランドをいくつかご紹介します。

  1. Minimal•ミニマル(日本)

    東京都 渋谷区•富ヶ谷に本店を構える「Minimal•ミニマル」。
    世界中から品質の良いカカオ豆を選び抜いて仕入れ、板チョコレートができるまでの全工程を管理し製造するビーン•トゥ•バーチョコレートの専門店です。カカオの味そのものが味わえるお店として人気があります。

  2. ベルナシオン(フランス)

    1953年にフランスのリヨンで創業した老舗。
    いち早くビーン•トゥ•バーに取り組むなどショコラ界では特別な存在として知られるメゾンです。伝統の味を守りながらも進化し続けています。看板商品のパレドールやタブレットが有名ですね。

  3. ショコラティエ パレ ド オール(日本)

    三枝俊介氏がオーナーショコラティエを務めるお店で、2014年よりビーン•トゥ•バーに挑戦し始めたことでも知られています。
    2019年には世界に先駆けてホワイトチョコレートのビーン•トゥ•バーブランドをオープン。年間10トン以上のチョコレートを扱う経験を活かし、カカオの本来の味と香りにこだわって作り出される極上の完全オリジナルの自家製チョコレートは、国内外から広く注目されています。

  4. ダンデライオン(アメリカ)

    サンフランシスコ発祥のダンデライオン•チョコレートは2010年に創業したビーン•トゥ•バーチョコレートのファクトリー&カフェです。ダンデライオン•チョコレートの初の海外進出として日本の蔵前に店舗があります。シングルオリジンのカカオ豆の買い付けから、選別、ロースティング(焙煎)、摩砕、テンパリング、成形、包装まで、すべて自分たちの手で行い、チョコレートを作っています。

  5. CACAO SAMPAKA(スペイン)

    1999年創業のスペイン王室御用達のショコラテリア「CACAO SAMPAKA(カカオ サンパカ)」。
    カカオの輸入•製造会社を親会社に持ち、ビーン•トゥ•バーという製造方法を採用した、カカオにこだわりを持つチョコレートブランドです。カカオ農園を支援する活動も行っています。

ビーン•トゥ•バー(Bean to Bar)のブランドが限られている理由

冒頭でもお話した通り、ビーン•トゥ•バー(Bean to Bar)とは、Beanはカカオ豆、Barはチョコレートバー(板チョコ)のことで、カカオ豆を仕入れて焙煎•粉砕するところから、板チョコレートになるまでの全ての製造工程を、一つの工房で行うことを意味します。
チョコレート界の"サード•ウェーブ(第3の波)"とも言われて、アメリカで始まったこの製法は、今ではチョコレートの本場ヨーロッパにも広がって、日本でもよく目にするようになってきました。

今までの製法では、お菓子メーカー等ではすでにブレンドされた板チョコレートを溶かしなおし、消費者の需要に合わせて、独自の味付けをするのが一般的になっています。扱いやすさが重視され、カカオ豆の種類や味はほとんど重視されていませんでした。
また、一般的なショコラティエでは、製菓用原料として扱う際に重視されるなめらかさや作業のしやすいクーベルチュールチョコレートを使っています。カカオバターを多く含むクーベルチュールチョコレートは、溶かしたときに流動性がよく、固まるとつややかで口どけもよいので、ボンボンショコラなどの上掛けに使うと、薄くパリッとしたコーティングができるという利点があります。

一方、ビーン•トゥ•バーは、カカオ豆を仕入れて焙煎•粉砕するところから、板チョコレートにするまでの全ての製造工程を、一つの工房で行っています。カカオ豆から板チョコレートになるまでには約10の行程があるといわれています。
一つの工房で全ての工程を行うことは、大変手間がかかり、温度の調整等にも気を配る必要があります。そのため、製造可能なショコラティエが限られ、かつ、大量生産も難しくなります。
その一方で、豆の状態や季節などの様々な条件に合わせて、きめ細かい対応ができるメリットもあります。
お店で出来立てのチョコレートを新鮮な状態で提供できるため、深い味わいと香りを存分にお楽しむことができます。手作りの個性や遊び心、温もりや愛情が感じられるところもビーン•トゥ•バーの良さですね。

ビーン•トゥ•バー(Bean to Bar)とフェアトレード

ビーン•トゥ•バーとフェアトレードをセットで目にすることも多いのではないでしょうか。
実際、ビーン•トゥ•バーの製法を取り入れているショコラティエではフェアトレードにも力を入れている事が多いので、「ビーン•トゥ•バー=フェアトレード」だと思っている人もいるかもしれません。
しかし、ビーン•トゥ•バーチョコレートがフェアトレードチョコレートなのかどうかはショコラティエによって違います。

前述したとおり、ビーン•トゥ•バーチョコレートはあくまでカカオ豆を仕入れて焙煎•粉砕するところから、板チョコレートになるまでの全ての製造工程を、一つの工房で行うことを意味します。

一方、フェアトレードとは「公平•公正な貿易」のことを指します。つまり、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」をいいます。

購入するチョコレートがフェアトレードチョコレートか確認した場合には、国際フェアトレード認証ラベルをチェックしてみてください。国際フェアトレード認証ラベルをが付いた製品は、社会的、環境的、経済的基準について定めた国際フェアトレード基準を満たしています。

では、なぜビーン•トゥ•バーとフェアトレードをセットで目にすることが多いのでしょうか。
それは、ビーン•トゥ•バーの「豆からチョコレートへ」という流れは、「生産者」•「加工者」から「消費者」と言い換えられるからかもしれません。
チョコレートの原材料となるカカオ豆の生産者は、国や地域によっては低賃金で働いている場合も多くあります。
ビーン•トゥ•バーの加工者は、自身の目指すチョコレートに適したカカオ豆を探しています。交渉や支援をして、農家と共に成長するビジネスモデルの確立を目指しているショコラティエもいます。加工者は生産者に対し、成果に見合うフェアトレード取引を行っているケースもあります。
ビーン•トゥ•バースタイルの確立と、生産者の技術向上は、切っても切り離せない関係と言えるでしょう。
さらには、環境保全に目を向けているショコラティエもいます。継続的にカカオの生産をするためにも、環境に配慮した継続可能な農法を導入し、生産者の生活確保と、地球環境保全を同時に行うことができる取り組みが重要になってきます。

ビーン•トゥ•バー(Bean to Bar)からファームトゥーバーへ

ビーン•トゥ•バーと似たキーワードとして、ファーム•トゥー•バーという言葉を聞いたことがある方もいるかもしれません。
美味しいチョコレートを作るためには、美味しいカカオ豆、さらに、美味しいカカオ豆を生産してくれる農園が必要です。
カカオ豆(ビーン)からではなく、それ以前のカカオ豆が出来る農園(ファーム)から関わるというスタイルをファーム•トゥー•バーというんですね。

手軽に買えるビーン•トゥ•バー(Bean to Bar)のお店3選

ここまでビーン•トゥ•バーについてご紹介してきましたが、ここからは比較的手軽に購入できるビーン•トゥ•バーのお店を紹介していきたいと思います!
お近くにお寄りの際はぜひ立ち寄ってみてくださいね!!

ミニマル(Minimal)

ミニマルは2014年に東京•富ヶ谷にオープンしたお店です。
ミニマルといえば、シンプルでおしゃれな包装の板チョコレートを一度は目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
こちらのブランドでは「引き算の哲学から生まれた、新しいチョコレートのおいしさ」をコンセプトに、素材と真摯に向き合い、余計なものを引き算し、カカオそれぞれの風味を引き立てるチョコレートつくりをしています。

現在は、板チョコレート専門店のMinimal 富ヶ谷本店と、ガトーショコラ専門店のMinimal The Baking 代々木上原があります。
2つのお店は徒歩10分ほどの距離なので、一緒に訪れてみるのも楽しいかもしれませんね。

また、オンラインショップ(https://mini-mal.tokyo/)も充実しており、板チョコレートだけでなく、生ガトーショコラやアイス、期間限定品なども購入可能です。
「CHOCOLATE ADDICT CLUB」というサブスクリプションサービス(https://mini-mal.tokyo/pages/chocolate-addict-club)
も行っており、職人が生み出す"新しいチョコレート体験"を、毎月自宅で楽しむこともできます!

バニラビーンズ

バニラビーンズは2000年に小さな工房から始まったブランドです。インターネット販売を通じて世界中に美味しいチョコレートを届けています。
唯一無二であること、シンプルであること、みんなに愛され続けること、作り続けることの4つを指針に、世界中の人々に愛されるお菓子作りを続けることにより、カカオ原産国の生活の安定を支援をしています。
公式オンラインショップ(https://chocolatedesign.co.jp/shopbrand/ct2/)では、チョコレートを使った様々なお菓子が購入可能です。

明治

明治のチョコレートのお菓子といえば、ミルクチョコレートやアーモンドチョコレート、チョコレート効果等様々な種類がありますが、2014年から販売している「meiji THE Chocolate(明治 ザ•チョコレート)」というブランドがあることをご存じの方も多いかと思います。
カカオは産地によって味や香り等個性が様々です。
世界中から原料を厳選し、商品ごとに異なるカカオを使用したこちらのブランドは、「BEAN to BAR」をコンセプトとしたシリーズで、カカオ豆の味や香りを最大限に引き出すために、工夫を重ねられ製造されています。
また、農家を支援しながら共にカカオを育ているところ関わるファーム•トゥ•バーにも取り組んでいます。

THE Chocolate(明治  ザ•チョコレート)を食べてみた

今回は、「meiji THE Chocolate」の「PERU(ペルー)<フローラルな香りのカカオ>」を購入してみました。
パッケージには「ジャスミンの様な華やかな香りと心地よい余韻」と書かれており、どんな味なんだろうと期待が膨らみます!

THE Chocolate(明治  ザ•チョコレート)を食べてみた感想

開けた際にまず気になったのは長方形の中に詰め込まれた、4つのカタチ(模様)です。
板チョコといえば全て同じ形の模様が入っているのが一般的ですが、明治 ザ•チョコレートは、4つのカタチ(模様)があります。
それぞれ軽やかな苦みを味わえるミニブロック型、香りが引き立つギザギザ型、濃厚さが際立つドーム型、力強い味わいのスティック型といったように、1枚の中でもカタチ、サイズで異なる香味が楽しめます。

「PERU(ペルー)」はカカオ70%。
明治のホームページでは「はじめに生のナッツのような香りが口の中に広がります。続いてジャスミンの白い花のような香りが広がり、その裏にかすかに桜餅の風味を感じます。最後は紅茶のような華やかさと心地よい渋みで締めくくられます。」と紹介がされていましたが、実際は…ナッツのような香りの広がりとくちどけの良さが印象に残りました。また、心地よい渋みも感じられ大人な板チョコをいただいた気分です。
4つのカタチも確かにそれぞれ個性(一番の印象は口溶けの違い)を感じられ、楽しみながらいただきました。
また、こちらは1箱50gの商品ですが、中は3つの小分けのパッケージになっています。50gは一気に食べられないという方も、小分けになっているので毎回フレッシュな状態で食べられるのもいいなと思いました!

まとめ

今回はビーン•トゥ•バーについてご紹介しました。理想とするチョコレートのために最適なカカオを探し求める作り手のこだわりのおかげで私たちはとても美味しいチョコレートを食べることができているのだな、と改めて実感しました。
また、カカオの生産環境から関わるファーム•トゥ•バーという取り組みも、消費する側としては無視できない大切な観点ですね。
普段は美味しさで選んでしまうチョコレートですが、ブランドや製法を学んで、商品を選ぶ事も時には大切だと感じました。

今回紹介したブランド以外にも、日本で購入可能なビーン•トゥ•バーのチョコレートはたくさんあります。
個人的には、今回紹介したダンデライオン•チョコレートの蔵前にあるカフェに行ってみたいなと思っています。
その際にはまたこちらでご紹介しますね!

最後までお読みいただきありがとうございました!

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