チョコレートに含まれる栄養成分を徹底解説|亜鉛不足が体調に与える影響と亜鉛不足になる主な原因

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チョコレートに含まれる栄養成分を徹底解説

近年、カカオポリフェノールが豊富な「ハイカカオチョコレート」を多くのメーカーが販売しており、健康効果が期待できるとして人気を集めているチョコレート。チョコレートにはカカオポリフェノール以外の栄養素も含まれており、身体にいい食品として注目されていることはご存じでしょうか。チョコレートにはどのような栄養成分が含まれているかを見ていきましょう。

チョコレートに含まれる栄養成分

まずは、チョコレートに豊富に含まれる栄養素を見ていきましょう。
チョコレートには、

  • カカオポリフェノール
  • 食物繊維
  • テオブロミン
  • 脂肪酸

が豊富に含まれています。

それぞれの効果についても見ていきましょう。

  1. カカオポリフェノール

    カカオを主原料とするチョコレートの代表的な栄養成分です。チョコレートの苦味や渋味はこのカカオポリフェノールによるものです。ハイカカオチョコレートのようにカカオの含有量が多いほど苦味も強くなります。
    高い抗酸化作用を持つポリフェノールは体内の酸化を抑えてくれるため、動脈硬化の予防、肌老化の防止、精神安定、リラックス、アレルギーの改善等が期待できます。

  2. 食物繊維

    カカオには、食物繊維の一種であるリグニンも豊富に含まれています。
    リグニンには、腸のぜん動運動を活性化する働きがあり、腸内環境を整え、便通を良くする効果が期待できます。

  3. テオブロミン

    カカオはテオブロミンを含む数少ない食品といわれています。
    テオブロミンとはチョコレートの苦味成分で、血流アップや覚醒・興奮を促す作用があります。
    脂肪の蓄積を防ぎ、体重増加を抑える効果が期待できる一方、過剰摂取は利尿作用や興奮作用を高めてしまう可能性もあるため、適量を心掛けましょう。

  4. 脂肪酸

    カカオ豆の脂肪分を構成する主な脂肪酸は、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸の3種類です。
    中でも多いのはステアリン酸です。ステアリン酸は、良質な脂質で、体内に吸収されにくい性質を持っています。

効率的に栄養を吸収できるチョコレートの食べ方

チョコレートに含まれるカカオポリフェノールは体内にとどめておくことはできません。高カカオチョコレートを食べるタイミングとしては、朝食前、昼食前、夕食前のタイミングがおすすめです。高カカオチョコレートを食事前に1日数回にわけて、食べてみてはいかがでしょうか。食欲を抑制する効果も期待できます。
ただし、大量に食べると摂取カロリーが過剰になってしまいますので、注意しましょう。

亜鉛不足になると体調にどんな影響がある&

人間の身体内にとって必要不可欠な「必須ミネラル」の一つに亜鉛があります。亜鉛は体内で作り出すことができないため、食事から摂取する必要があり、不足するとさまざまな症状を起こすことがあります。亜鉛は身体にわずかしか存在していませんが、身体のあらゆる場所で働く大変重要なミネラルです。
亜鉛の役割についてみていきましょう。

亜鉛の役割

亜鉛は成人の体内に約2g含まれます。成人ではそのほとんどは筋肉と骨中に含まれますが、皮膚、肝臓、膵臓、前立腺などの多くの臓器に存在し、タンパク質の合成に関わる酵素の材料として使われます。
亜鉛はたんぱく質の再合成、DNAの合成にも必要なので、胎児や乳児の発育や生命維持に非常に重要な役割を果たしているほか、骨の成長や肝臓、腎臓、インスリンを作るすい臓、精子を作っている睾丸など、新しい細胞が作られる組織や器官では必須のミネラルです。また、体の細胞にダメージを与える活性酸素を除去する酵素の構成成分であるほか、味覚を感じる味蕾細胞や免疫反応にも関与しています。

亜鉛不足になると体調にどんな不調をきたすか

亜鉛が不足すると、成長障害や味覚障害、貧血、食欲不振、皮膚炎、生殖機能の低下、慢性下痢、脱毛、免疫力低下、低アルブミン血症、神経感覚障害、認知機能障害などのさまざまな症状が現れます。
亜鉛の吸収を阻害する食品として、植物性食品に多く含まれる食物繊維やフィチン酸(穀類、豆類に多い)などがあります。また、加工食品に多く含まれる食品添加物が、亜鉛の吸収を阻害し、亜鉛欠乏になることもあります。食生活の乱れによる亜鉛欠乏により、味覚障害を訴える人が増えてきているという報告もあるので、特定の食品に偏った食事しないよう心掛けることが大切です。また、アルコールの摂取により、亜鉛の排出量が増加します。

亜鉛の摂りすぎは身体によくない&

人間の身体にとって不可欠な亜鉛ですが、過剰摂取すると身体に悪影響を及ぼす可能性があります。過剰摂取した場合、吐き気、嘔吐、食欲不振、胃痙攣、下痢および頭痛などの徴候がみられます。
また、長期にわたり亜鉛を過剰摂取すると、銅の減少、免疫の低下、およびHDLコレステロール(「善玉」コレステロール)の減少などの問題が生じる場合があります。

チョコレートを食べると亜鉛不足を解決できるか

若年女性、高齢者、乳幼児に亜鉛不足が多くみられることから、亜鉛を効率よく摂取する策として、チョコレートもお勧めです。チョコレートには亜鉛だけではなく、亜鉛以外の重要な必須ミネラルである銅の含有量も高く、 この特徴を利用することで亜鉛と銅のバランスを整えるなど、優れた機能性も期待できます。

チョコレートの栄養成分と亜鉛不足に関する研究事例

チョコレートの栄養成分と亜鉛不足に関する研究をみてみましょう。

加齢と寿命の短縮は、部分的には酸化ストレスが原因と考えられている。独フリードリッヒ・アレクサンダー大学エアランゲン-ニュルンベルクなどの研究チームは、亜鉛が有機分子を活性化して酸化ストレスから防護することを発見した。
亜鉛は微量元素として我々の健康維持に必須の栄養である。研究チームは、亜鉛が、ワイン、コーヒー、茶、チョコレートなどの食品に含まれる成分と共同で、過酸化ストレスに対するスーパーオキシド反応からの保護効果を持つことを発見した。この成分とはポリフェノールに含まれるヒドロキノンで、匂いや味覚に関与している。亜鉛はヒドロキノンを活性化し、細胞呼吸の副産物で体内の分子を傷害するスーパーオキシドから保護する。スーパーオキシドは加齢プロセスや炎症、がん、神経変性性疾患などで役割を担っていると考えられている。

ヒドロキノン単独ではスーパーオキシドを破壊する能力はない。けれども、亜鉛とヒドロキノンの組み合わせでスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)のような機能をもつ金属複合体ができあがる。この酵素は、酸化によって起こされる分解プロセスから身体を保護し、抗酸化効果をもっている。このように、スーパーオキシドは代謝され生体が傷害されることから保護される。酸化ストレスが排除されるのである。

初めてこの酵素の機能がマンガン、鉄、銅、ニッケルのような酸化還元活性遷移金属なしにコピーできることが示された。これらの金属には抗酸化効果もあるが、大量に摂取すれば酸化ストレスが上昇することで打ち消される。亜鉛はそれらの遷移金属に比べてはるかに毒性は低いので、より少ない副作用の薬剤やサプリメントになる可能性がある。あるいは、ヒドロキノンを含む食品に添加することで、摂取者の健康に寄与できるかもしれないという。

もしかしたら、将来亜鉛を添加したワイン、コーヒー、茶、チョコレートが販売されるかもしれないが、ただしアルコールはこの組み合わせ効果を打ち消してしまう、と研究者はコメントしている。
(「出典元:ネイチャー科学」)

一日にチョコレートをどれぐらい食べるといい&

カカオに含まれるテオブロミンという成分には集中力・記憶力・思考力を高め、やる気を導く働きがあります。1枚5グラムのチョコを1日5枚、1カ月間摂取すると、酸化ストレスが低下し、記憶や学習などの認知機能と関連するBDNF(神経細胞の発生や成長などを促進させる神経栄養因子)に良い影響があるという報告がある。
最近では、カロリーが低く、ポリフェノールの多い、おいしいチョコレートが販売されています。ぜひ日常の食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

食べすぎに注意、チョコレートを食べすぎると

身体に良い成分が含まれているチョコレートですが、食べ過ぎれば体に悪い影響を及ぼします。
チョコレートの食べ過ぎは、脂質や糖質の過剰摂取による体重増加や、動脈硬化、そして糖尿病のリスクが高まります。 カカオには脂肪分が含まれている他、カカオの苦味を抑える成分として使用されているミルクや砂糖には、脂肪分と糖分が含まれています。適量の摂取を心掛けましょう。

チョコレートを控えたほうがいい人

チョコレートには、テオブロミンに似た働きをするカフェインも含まれています。テオブロミンと同様に、カフェインも過剰摂取に注意が必要です。特に、妊婦、授乳中の人は気をつけましょう。
英国食品基準庁の発表(2008年)によると、妊娠中は、妊娠していないときよりも血液からカフェインが消失するまでの時間が遅くなるため、カフェインの過剰摂取は胎児の発育阻害、出生時の低体重といった健康リスクが高くなる可能性があるといいます。
妊娠中のカフェイン摂取量の上限は200mgにするよう求められていますが、ハイカカオチョコレートのカフェイン含有量は100gあたり70~120g相当。このカフェイン摂取量の上限は、ほかのカフェインを含む食品・飲料も含めた数値になりますので気をつけてください。栄養成分表示を参考にして、食べる量を調整することを意識しましょう。

亜鉛不足を解決するために摂るといい食材

亜鉛含有量が多い食品には肉・魚介・種実・穀類などがあります。特に多いものとしては牡蠣、あわび、たらばがに、するめ、豚レバー、牛肉、卵、チーズ、高野豆腐、納豆、えんどう豆、切干大根、アーモンド、落花生などです。
一汁三菜のようなバランスの取れた食事を摂ると、亜鉛は十分に摂取できます。一方、アルコールの摂取により、亜鉛の排出量は増加します。お酒好きな方は適正量を守ることや、おつまみに亜鉛を多く含む肉や魚、ナッツ類を使用したものを選んでみましょう。

すでに体調不良の場合には、まずは病院へ

適量を摂取することで様々な効果が期待できるチョコレートですが、現在持病のある方や体調不良が気になっているまずは病院に行きましょう。栄養素の不足について不安がある方は、サプリメントの摂取についてかかりつけ医に相談してもよいでしょう。

まとめ

チョコレートには身体によい様々な栄養成分が含まれていますが、今日は亜鉛に着目してみました。亜鉛不足の身体への影響やチョコレートが亜鉛不足の予防にも役立つことがわかりました。
チョコレートはただおいしいだけでなく健康管理も期待できる食品であることもわかりましたが、「食べすぎ」は健康リスクにつながる可能性もありますので、食べるときは摂取量に注意しましょう。他の食品との組み合わせも楽しみつつ、美味しく楽しくチョコレートを楽しんでくださいね。

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